「評論文」を“読める”ようになる、構造の読み方
2025.11.20
11月、期末テスト前。
国語のテスト勉強といえば「ワーク」「漢字」「語句」になりがちですが、
実際の得点差を生むのは、“評論文を読めるかどうか”です。
多くの生徒がこう言います。
「読んでも、何を言いたいのか分からない。」
それは、内容を理解できないのではなく、
“読み方の順番”を知らないだけ。
評論文は、「筆者の主張→理由→根拠→結論」という構造で書かれています。
『現代の国語2』の「遠くを見る目、近くを見る目」を読みながら、
どこを見るかで景色が変わることに、ゆっくり気づいていく時間になりました。
Step1.主張を先に探す
評論文を読む最初の一歩は、
「筆者の主張(言いたいこと)」を先に見つけること。
たとえば本文の冒頭には、次のような一文があります。
「社会を動かす大きな視点と、目の前の人を見る小さな視点。どちらも欠かすことはできない。」
ここで筆者は、“二つの視点が両立すべき”という考えを提示しています。
つまり、主張は「どちらか一方ではなく、バランスが大事」。
まず“主張”を頭に置いて読むことで、
途中の具体例や説明が「何のための話なのか」が整理されます。
Step2.理由を3つに整理する
筆者は主張を支える理由をいくつか提示します。
たとえば、本文では「現代社会では大きな視点ばかりが重視されている」「個人とのつながりが見えにくい」など。
それらを箇条書きにすると、文章の骨組みが明確になります。
- 理由①:社会的スケールでしか物事を考えなくなっている
- 理由②:個人の視点を軽視している
- 理由③:結果として社会の問題が見えにくくなっている
このように3点構成で整理するだけで、内容が一気に入ってくる。
“なんとなく分かった”から、“どこがどう分かったか”へ。
Step3.対比構造を見抜く
評論文の多くは「対比」で書かれています。
- 大きな視点(社会) ↔ 小さな視点(個人)
- 全体を見渡す ↔ 一人の声を聞く
この対比を見抜くと、筆者が伝えたい“方向性”が分かります。
つまり、「どちらが正しいか」ではなく、
「なぜ両方必要なのか」を理解できる。対比を読むとは、筆者の“思考の設計図”を読むこと。
文章の構造を俯瞰できるようになると、
読解力が安定します。
Step4.根拠を「例」から拾う
評論文に出てくる具体例は、たいてい根拠の証拠です。
たとえば、筆者が「小さな視点を忘れている」と言うとき、
その具体例として「地域社会の断絶」などが紹介されている場合があります。例は飾りではなく、“筆者の考えを支える証拠”。
「どの主張を支えている例か」を読むことで、
文章の流れが一本の線になります。
Step5.最後の一文で「結論」を読む
評論文の最後の段落には、
筆者の「まとめ」と「願い」が書かれます。
「社会を見渡す力と、隣にいる人を見る優しさ。
その両方を持てる人こそ、これからの時代を支える。」
この“両方”という言葉が結論。
冒頭の主張を再確認しながら、
「何をどう実践してほしいのか」に注目して読む。
評論文を読めるようになるとは、
筆者の考えを追いながら、自分の考えを整理できるようになること。
“読む”ことは、“考える”こと。
文章の構造を読む習慣がつくと、
他の教科(理科や社会)でも、
説明文・資料文の理解が格段に速くなります。
教科書をもう一度開いて、
「書かれていること」ではなく、「どう書かれているか」に注目してみてください。
それが、国語の学びの本質です。
