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“学びとバレエ”が同居する教室ができるまで

2025.07.2

ガラス越しに見える四角いテーブル、
やわらかなグレージュの壁、
小さなステップ。
ここは学びの対話とからだの表現が同じ空気の中で育つ場所。
図面と模型の段階から、子どもの体験を中心に設計してきました。

 

模型で決めた「学びの景色」

教室の中心に据えたのは、180cm 四方のテーブルでした。
8人が座っても窮屈にならず、手を広げても余裕がある。
それぞれが自分のノートに向き合いながら、周りの気配を気にせず集中できる。
この“ほどよい間”が、学びの空気を落ち着かせてくれます。

そして、そのテーブルが街にひらかれる窓際にあることも大切な約束でした。
大きなガラス越しに差し込む光は、室内に柔らかさをもたらし、外からは子どもたちの姿勢が淡くにじむ。
集中と開放が両立する光景を、最初の模型の段階から思い描いていました。

 

音と光の“見えないインフラ”を整える

天井裏には軽量鉄骨と吸音材を仕込み、バレエの足音や学習中の声が残響しすぎないようにしました。
また空調の吹き出し位置も調整し、テーブル中央にやわらかく風が落ちるよう設計。
「集中を妨げない静けさ」と「長時間でも疲れにくい環境」は、図面には現れないけれど、学びを支える基盤です。

 

色と床と梁—“集中×リラックス”の色温度

壁にはやや赤みを抑えたグレージュを採用しました。白よりも眩しさを抑え、ノートの文字が読みやすくなる。
床はオーク無垢。素足でも温かみがあり、冬でも冷たさを感じにくい。
そして梁にはミッドナイトブルー。学習エリアとエントランスを穏やかに分け、子どもたちが「帰ってきた」と感じられる色にしました。

 

黒ガルバの小箱—動と静を分ける“更衣ブース”

教室の奥には、黒いガルバリウムで仕上げた小さな箱を置きました。
用途は更衣と荷物の収納。学習エリアとは動線を分けることで、心の切り替えが自然に生まれます。
マットな質感は視線を吸い込み、空間全体を引き締める“ピリオド”のような役割も果たしています。

 

180cmの四角テーブル—「考えはじめの距離」をつくる

このテーブルは、学びの象徴そのものです。
天板はラジアタパインの集成材、脚は白で仕上げたスチール。高さはH700。
小学生の背中も、中学生のペン先も、どちらも自然に落ち着く寸法にしました。

完成した空間に置かれたとき、テーブルはただの家具ではなく「考えはじめの場」になりました。
静かな時間には、鉛筆の音が心地よく響く。
発表のときには、子どもたちの視線が自然と中央に集まる。
ここに座ると、“ひとりで学び、仲間と響き合う” その両方が当たり前に起きるのです。

外から眺めると、ガラス越しにその姿勢が淡く街へにじむ。
内から見れば、やわらかな光とグレージュの壁が子どもを受け止める。
——この180cmの四角い面が、サクラサク塾の学びを育てていきます。

図面と模型から始まった教室づくりは、光や音、色や素材を選び抜き、ようやく形になりました。
でも、完成はゴールではなく、ここからがスタートです。

この空間に集まる子どもたちが、考え込み、笑い合い、ときに立ち止まりながら自分の学びを育てていく。
私たちはそのそばで、伴走者として寄り添い続けます。

写真だけでは伝わらない空気感を、ぜひ実際に体験してください。
保護者の方も一緒に、テーブルを囲んでお話しできるのを楽しみにしています。

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