私が塾をひらくまで
2025.07.1
バレエ教室でレッスンを終えたあと、生徒が机に広げた学校の宿題。
「これ、一緒に考えてもいいですか?」
そんな何気ないやりとりの中で、いつの間にか私は“学びの時間”にのめり込んでいました。
振り返ると、説明しているときの子どもたちの表情がとても印象的で、
それを見ているうちに「この関わり方、なんだか心地いいな」と感じるようになりました。
今こうして塾という場を開いているのも、きっとその延長にあるのだと思います。
教員時代-現場で培った「目の前の子をよく見る」習慣
私は大阪府立北野高校を卒業後、大阪教育大学へ進学し、
その後は大阪教育大学附属天王寺小学校などで10年間、小学校教諭として勤務していました。
いま思えば、この期間に身についた一番の力は、
「目の前にいる子どもを見る」「ちょっとした変化に気づく」という習慣だったかもしれません。
答え方が昨日と少し違う。
いつもより筆圧が弱い。
そんな小さな変化から、「どう声をかけようか」と考える日々は、
今の塾での“引き出す”スタイルにもつながっているように感じます。
塾という場所をつくることになった理由
バレエ指導に専念していた時期、レッスン後に少しだけ勉強を見たり、話を聞いたりする機会がありました。
それがいつしか、“子どもたちの学ぶ姿”に自然と引き込まれていく時間になり、
「もう少し深く、じっくりと関われたらいいな」と思うようになっていきました。
バレエが“体の軸”を育てるものだとすれば、
学びは“思考の軸”を育てるもの。
そんなふうに感じて、「教える」よりも「引き出す」場をつくってみたい―
それが、サクラサク塾のはじまりです。
8人で囲む、180cmの四角い机から始まる学び
サクラサク塾の教室には、180cm四方の大きな四角いテーブルがあります。
最大8人が集まり、ノートやプリントを広げながら、
「ここ、どう考えた?」「私はこうやってみたよ」と自然と声を交わすような場所です。
私はこの空間を、ただの“机”ではなく、「考えを交わし、受け止め合う場」にしたいと思ってつくりました。
自分の考えをことばにしてみる。
誰かの気づきに「それ、いいね」と反応してみる。
そんな“つながり”と“集中”が共存する空間が、子どもたちの思考をやわらかく解きほぐしてくれるように感じています。
指導方針-正解より「自分の答え」にたどりつく力を
授業のなかでは、「正解」だけを目指すのではなく、
「自分なりの答え」にたどりつく過程を大切にしています。
「どうしてそう思ったの?」
「どこまで考えられた?」
「別の考え方はあるかな?」
そんな問いかけを通じて、子どもたちは
“聞かれたことで、気づける”体験を少しずつ重ねていきます。
できた・できなかったに一喜一憂するだけでなく、
「考えるって面白いな」と思えるきっかけを渡せたら――
そう願いながら、毎回の授業に向き合っています。
子どもたちとの日々から
ある日の授業で、いつもより静かにノートと向き合っていた子がいました。
終わったあと「今日はどうだった?」と声をかけると、
「わからなかったとこ、自分で気づけてうれしかった」と、少し照れながら教えてくれました。
誰かと比べるのではなく、
昨日の自分より、少しだけ“できた”ことを見つけられる。
そんな小さな“うれしい”を、一緒に積み重ねていける塾でありたいと思っています。
塾の名前「サクラサク」には、
“その子らしい花が、いつか咲くように”という願いを込めました。
すぐに大輪の花は咲かなくても、
いまはまだ土の中でも、
自分のペースで芽を出す準備をしている子が、たくさんいます。
そんな子どもたちのそばで、
一緒に考え、見守り、背中を押せる存在でいられたら――
それが、私にとっての「教える」ということの意味かもしれません。
体験レッスンのご案内(30分)
「どんな雰囲気か見てみたい」
「うちの子に合うか相談したい」
そんな方へ、体験レッスンを随時受け付けています。
授業というよりは、“一緒に考える時間”のような感覚かもしれません。
どうぞお気軽にお越しください。